うつ病の症状は、主に精神的なものと身体的なものに分けられます。まず精神的な症状で典型だとされるのは「気分の落ち込み」や「気力の低下」です。例えば些細なこともネガティブに捉える、趣味や関心を持って取り組んでいたことに興味が湧かないなどといった変調が長期的に続きます。これらはうつ病の初期症状で、セルフチェックのポイントでもありますが、本人は単なる気分の問題と捉えてしまうことや、周りからはただ怠けていると思われがちです。そのため、うつの症状として気づかれずに悪化させてしまうことが珍しくありません。次に、身体的な症状では体重の変化や頭痛、めまいなどが起こります。うつ病になると体重が変化するのは、症状の一つとして食欲がわかなくなったり、逆に過食気味になったりするためです。中には10キロ近く体重が増減する患者もいます。頭痛などはうつの原因である情報伝達物質の減少が関わっているとされますが、うつ病を発症することで感じる精神的ストレスもこれらの症状を悪化させる要因です。その他には肩こりや睡眠障害などが身体的な症状として考えられますが、これらはほとんど全てが健康な状態でも起きるか、別の疾患でもよく見られます。そのため、多くの人は自分がうつ病だと判断し、早期に精神科の受診やカウンセリングを行うことがなかなかできません。他の科を受診して特に異常が無いと診断され、改善しない症状に悩むうちにうつ病を悪化させてしまうのが、自覚が無い患者によく見られるパターンです。このように、うつ病は症状が現れている患者本人でさえも発症に気付きにくく、早期発見・治療が難しい疾患です。そのため、治療開始には周囲が異常を発見し、休息や精神科の受診を促すことが大切です。そして治療開始後にも周囲のサポートが欠かせませんが、無闇な励ましの言葉やうつ病になったことを責めるような発言は禁物です。必ず医師など専門家の診断を受け、治療中の注意点について確認してから治療をスタートさせましょう。そしてうつ病治療で最も重要な点は、治ったように感じても自己判断で通院や投薬をストップしないこと、また周囲もそれをさせないことです。