うつ病は主に人間関係によるストレスや、環境の変化によるストレスのせいで生じると考えられています。大きく分けて、「大うつ性障害」と「双極性障害」の二つが挙げられます。「大うつ性障害」になると、抑うつ状態が長期間にわたって続きます。はじめは集中力の低下によって、それまで何でもないようにこなしていた仕事や家事が、徐々に手につかなくなってきます。周囲からは「やる気がないだけだ」と判断されがちですが、「大うつ性障害」は本人のやる気で治る病気ではありません。放置しておくと、症状はしだいに悪化していきます。食欲が明らかになくなり、体重が減っていきます。人によっては逆に過食気味になり、体重が増えることもあります。さらに身体が疲れやすい体質へと変化していき、朝目覚めた瞬間から一日中「だるい」と感じるようになります。不眠症に陥るケースもあります。眠れたとしても、1、2時間ですぐに目が覚めてしまい、朝までぐっすりと眠ることが難しくなります。そのせいで気分が塞ぎ込み、それまで興味のあったモノや人に対して「どうでもいいや」という気持ちを持ち始めてしまいます。結果、心も行動そのものも閉鎖された状態に陥ります。「双極性障害」は「大うつ性障害」に見られるうつの症状と、それとは真逆の躁の症状が交互に起こります。躁状態になると、まるで別人に生まれ変わったかのように元気になります。自分は何でもできると思うようになり、行動は活発になり、周囲に対する発言も明らかに横柄になります。場合によってはそれまでうつ病で苦しんでいる姿を見て、励ましたり理解したりしようと親切にふるまってきた家族や友人に対して、侮辱する発言をしてしまう人もいます。気分が高揚し、その状態が続くせいで、自分が優れた人間だと考えるようになったためです。このように一口にうつ病といっても、前者であるのか後者であるのかで大きく症状が異なります。また、症状には波があり、調子のいいときもあれば非常に悪いときもあります。うつ病が治りかけている状態で、再び過度のストレスを与えられると、以前にもまして症状を悪化させてしまう危険もあります。うつ病の治療にはゆっくりと時間をかけることが必要です。